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Vol.033 リッキービジネスソリューション株式会社 代表取締役 澁谷耕一第4話 架橋
コラム(4) パーソナル・データ(4)
鳥の目、虫の目、魚の目
 社員には「夜遅くまで残業したり、休みをあまり取らない」という働き方はできるだけしないように言っています。自分に自信と実力があって、本当にがんばって結果を出せたら、1週間でも2週間でも休暇をとればいいと思います。これは興銀時代からの私のスタイルで、朝9時に出社して、夕方6時には退社していました。残業はあまりしませんでした。上司から注意されることもありましたが、時間を有効に使って企業の新規開拓を行って成績を上げて、やるべきことをやっていましたから、時間を無駄に使って残業をやるよりは生産的だと思っていました。こうした効率性とか生産性を考えて、自立した働き方をしてほしいと、セミナーに参加する銀行の営業マンの方々にも話しています。
 経営者の方には、鳥の目、虫の目、魚の目という「3つの目」の話をします。これはイトーヨーカ堂創業者の伊藤名誉会長からうかがったお話です。鳥の目は、政治・経済情勢などを俯瞰するマクロ的な視野の必要性です。虫の目は精緻なミクロ目でビジネスに関して細心の配慮をすることです。魚の目は潮流を読むことです。社会環境の変化をいち早く読み取り、それに即応する判断力を示します。
 その中で今一番大事なことは魚の目です。世の中の流れや価値観の急激な変化、そうした時代の潮流を見極める目が経営者には必要なのです。以前でしたら上場企業が倒産することなどめったになかったのですが、現実に起こっている時代です。潮流を読む目を養うには、経営者が勉強するしかないわけですが、世の中の流れに関する情報を企業はもっとお金をかけて収集するべきだと思います。そこから得た情報に基づいて、経営判断をしていくことが重要なのです。

人の役に立てる
 将来はニューヨークに本社を移転して、当社の業務をすべて教育産業にしていきたいと考えています。当社は経営者に対して、3〜5年後の経営計画、財務計画をこうすると会社は安定しますとアドバイスしています。銀行は御社をこういう視点で分析していますから、融資を受けるにはこういう方法がありますというような話をしているわけです。その一方で銀行員に対しては、経営者はこういう事案で悩んでいるから、こういう提案をすると喜んでいただけるということを話しています。つまり基本にあるのは教育なのです。
 社内でミーティングを行うと、社員から「社長は大学のゼミの先生みたいですね」と言われます。自分の考えていることを人に聞いてもらうのが好きなのでしょうね。昔は「みんなに僕の話を聞いてほしくて、この会社を設立したんだ」なんていうことをよく冗談まじりに言っていました。
 最近は若い人の自殺が多く、やりきれない気持ちになります。自分など生きていてもしょうがいないと思うのでしょう。でも人はいろいろな形で社会に貢献できるはずです。人の役に立てるということがわかれば、生きる勇気も出てくると思います。そのような教育を若者に向けてやってみたいと思っているのです。格差社会の中で、どんなにがんばったところで毎日が同じ生活、絶対にランクが上がらないと投げやりになっている人たちを対象にして、生きる目標というものを教えたいと思っています。


次号(2008年12月3日発行)は、アドベックのブルーノ・ラシュレさんが登場します。



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