日本の人口はこれから減り続けるといわれていますが、それは天体運動のような確定事項ではなく、社会現象です。人々が暮らしやすい、子どもを産み育てやすい環境になれば人口減は改まるはずです。それには交通が大きな役割を果たします。古今東西の歴史を振返っても、交通の利便向上と国家の繁栄や人口の増加とは強い相関関係にあります。
日本は、幕末・明治維新の頃に3,000万人だった人口が、大正末・昭和初期には6,000万人となり60年間で倍増しました。その間、鉄道が国を牽引し、国家繁栄の根幹として重要な役目を果たしてきました。その後、昭和の初めから終りまでの60年間で6,000万人から1億2,000万人と、また倍増しました。前半は鉄道が東海道新幹線を代表に社会へ大きく貢献し、人々の移動や物資の運搬の利便を高めました。後半は鉄道に代り自動車と航空が発達し、社会の発展に貢献しました。その後、人口減時代になったことと、鉄道が充分な力を発揮できず、自動車交通の機能向上も飽和状態になり、社会全体の交通システムの進歩が頭打ちになったこととは、偶然の一致とは思えません。
今後、鉄道の利便が向上すれば、通勤の肉体的・精神的負担が減ります。また通勤圏が広がり同じ経済的負担でより広い家に住めるようになります。そうなれば、今以上に子どもを産み育てようと皆思うことになるでしょう。
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