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Front Interview
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Vol.027 株式会社ライトレール 代表取締役社長 阿部等第1話 精通
コラム(1) パーソナル・データ(1)
人口増への方策
 日本の人口はこれから減り続けるといわれていますが、それは天体運動のような確定事項ではなく、社会現象です。人々が暮らしやすい、子どもを産み育てやすい環境になれば人口減は改まるはずです。それには交通が大きな役割を果たします。古今東西の歴史を振返っても、交通の利便向上と国家の繁栄や人口の増加とは強い相関関係にあります。
 日本は、幕末・明治維新の頃に3,000万人だった人口が、大正末・昭和初期には6,000万人となり60年間で倍増しました。その間、鉄道が国を牽引し、国家繁栄の根幹として重要な役目を果たしてきました。その後、昭和の初めから終りまでの60年間で6,000万人から1億2,000万人と、また倍増しました。前半は鉄道が東海道新幹線を代表に社会へ大きく貢献し、人々の移動や物資の運搬の利便を高めました。後半は鉄道に代り自動車と航空が発達し、社会の発展に貢献しました。その後、人口減時代になったことと、鉄道が充分な力を発揮できず、自動車交通の機能向上も飽和状態になり、社会全体の交通システムの進歩が頭打ちになったこととは、偶然の一致とは思えません。
 今後、鉄道の利便が向上すれば、通勤の肉体的・精神的負担が減ります。また通勤圏が広がり同じ経済的負担でより広い家に住めるようになります。そうなれば、今以上に子どもを産み育てようと皆思うことになるでしょう。

本当の鉄道の時代へ
 モータリゼーションは、米国から始まり、その後、日欧に広まり、確かに多くの人に豊かで幸せな生活をもたらしました。今後、同じ流れが中国、インド、アフリカなどに広まろうとしています。今は徒歩や自転車で移動している数十億人が自動車で移動するようになれば、この地球はどうなるのでしょうか。
 エネルギーと環境問題で地球上に人類が住めなくなることは確実です。でも、たまたま運の良かった我々先進国人が、アフリカの人たちに「あなた方は人種レベルが低いので自動車を使えません」などといえるわけがありません。そんなことをいうことは神への冒瀆です。かといって、一度豊かな生活を知った我々は、江戸時代や原始時代の生活に戻ることもできません。
 自動車の代りになる便利でかつ環境負荷の軽い交通システムが世界中から求められることになるでしょう。私は、鉄道が本当に大活躍する時代がくると信じ会社経営に取り組んでいます。



(5月14日更新 第2話「熱意」へつづく)




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