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Front Interview
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Vol.028 ウォーターグループ代表 坂井直樹第4話 育成
コラム(4) パーソナル・データ(4)
リッチ&フェイマス
 振り返ってみると、僕ら団塊の世代は、基本的には自分のことしか考えていなかったのではないかなと思います。僕もそうでした。でも今はちょっと違って、社会全体の幸せをどのように作るかが、大事なことだと思っています。とにかく、子どものころから競争、競争の世界で育ってきていて、学校の成績でも、必ず張り出されていましたね。やはり成績が下のほうだと淋しいし、恥ずかしいから競争になる。今でもそんなところは残っていますよ。競争が快感、競争症ですね。
 阪神大震災あたりから若い人がNPOやボランティアをごくふつうにやり出すようになりましたが、これは素晴らしいことです。つまり、今の若者は余裕があるんでしょうね。豊かな人ほどボランティア活動する姿勢が強く出るものです。僕らにはそこまでの余裕はなかった、競争を勝ち抜くことで精一杯だった。
 たしかに時代は変わったのですが、男の欲望はあまり変わっていないのです。結局、リッチ&フェイマス、お金か名誉しかないんです。たとえば、沖縄に60万坪の土地を購入して自立した国家にしたい、革命を起こしたいという人がいるとします。これは偉人になりたいという名誉かもしれません。あるいは土地利用でひと儲けしてカーネギーやビル・ゲイツになりたいとなればお金です。でも、偉人伝にしても尊敬されることが前提というのはおかしなことです。名誉は自分が求めるものではなく、他人から評価されて与えられるものです。ところが、女性の欲望はまったく違いますね、多くの方が愛と答えます。

ビジョナリストが見えない
 ヨーロッパのデザイナーはフリーランスの方が多いですね。自動車のデザインもある部分は外部のデザイナーに発注していますから。しかし、日本にはそういう土壌がありません。デザイナーも基本は組織人です。組織の中で指令が飛んでくると、それに向かって突き進むというパターンがほとんどです。
 ホンダのアシモを例にとると、エンジニアの方々は、当初の開発目的を達成させてしまうと、その次に何をロボットにさせるのかという進化のイメージを想像しにくいのです。たとえば水泳の北島康介選手のような超人と同じ動きをするロボットを作るといったような、シナリオ、クリエイティブ・ビジョンを描ける人が少ないのです。日本のエンジニアは生産性、機能性、合理性といった面は非常に得意です。数字になることは本当に強くて何でも達成する。ところが、ファンタジーとかビジョンを立てることに関してはとても弱い。
 その点、米国のシリコンバレーなどを見ていると、失敗も多いのですが、自ら語ったビジョンをどんどん実現していく。ここは日本のカルチャーとの大きな違いです。それと日本の企業の場合、個人が目立たないですよね。トヨタをリードしているのは誰かが見えてこない。ホンダも本田宗一郎さんのあとは誰がビジョナリストなのか、誰が中心になって動いているのか、一般の人にはわかりません。しかし、ビジョンや個人の顔が見えにくい日本も、集団として結束するとものすごい力を発揮します。これは世界から見ると、とても不気味に思えるそうです。



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