今年の4月から週2回、慶應義塾大学の教授としてコンセプトワークやデザインのディレクションについての講義を持っています。400人と60人の講義、20人のゼミと3つの教室を受け持っています。ここで僕が60年かけて築いてきたデザインの仕事を受講生にショートカットして、これまでのプロセスを飛び越えてもらいたいと思っています。そこからスタートアップして、どこまで伸びていくかを見ていくことを楽しみにしています。僕が持っているクリエイティブに関する知識は、惜しまず全部学生たちに提供しようと思っています。
今後5年は教育分野に注力していきたいと考えています。デザインをどのように企業に説得するか、その上でどのアングルに焦点を絞るか、そのコミュニケーションの方法論や、コンセプチュアルスキルやヒューマンスキルなど、なるべく実践的な講義をしたいと思っています。
かつて故・黒川紀章さんが、「みなさん、人間は死んだら終わりと思うでしょ。確かにそうですけれど、あなたが残した言葉、写真、建築、デザインは全部残ります。その影響を受けたジェネレーションの人たちが新たに何かを作っていくということは、その中であなたが生き続けていることになります」というスピーチに大変感銘を受けました。人間が子どもを作って自分の遺伝子を残すように、クリエイティブしたモノも文明的な遺伝子になって残るわけです。我々がこれまでに何をやってきたか、生きていることはいかに重大なことか。学生たちに伝えていきたいですね。
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