ダイヤモンドキャピタルも設立から最初の10年間くらいは、ベンチャーキャピタル魂といますか、そういう意識を強く持った投資活動を行っていました。当時の最大の成功例は、東京応化工業株式会社というアーリーステージの会社への投資です。これが大きな資産になっているところがありました。でも、そういうふうにリスクを取って投資するというスタンスが、だんだん薄れていったのですね。
というのも、銀行内のローテーションで回っている組織というのは、パフォーマンスをどう見るか、という場面になると、一般事業会社については、どうしてもPL(損益計算書)だけで判断することになります。そうなると、どれだけ過去の含み益を取り崩したかということはあまり見なくなって、期間収益だけに注視するようになっていくのです。そうなれば、どうしても償却がすぐに起きるような投資はちょっと、という思考になっていきます。あるいは、今あるものを守らなければならない、という考えになっていくのもしれませんが、いずれにしても「リスクを取る」というメカニズムが働かなくなってくるのです。
今の日本もそういう状況に近いのかもしれませんが、そうした思考に陥ると、茹で蛙ではありませんが、かえってリスクを取る結果になってしまうことに気がつかなくなります。
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