ダイヤモンドキャピタルの内部評価システムは、すぐに立ち上げることができましたが、投資形態をファンドに変えていくには、3年程かかりました。2005年に200億円規模のファンドを立ち上げ、これまでの期間損益からファンドのパフォーマンスに評価軸を変えました。今までの投資方針上にあるものをすべて包括し、レーターからアーリーステージまで、国内も海外もすべて含めたジェネラルな、いわば「ごった煮ファンド」です。
その後、ITの次はバイオということで、スタッフを外部から集め、内部でも勉強する機会を設けながらスタッフィングし、結果的に投資件数は少ないですが、パフォーマンスとしては好成績を上げることができました。これでダイヤモンドキャピタルとしての一つの特色は作れたと思います。バイオに焦点を当てたのは、時勢を考えた時に、今後の可能性が高く、資金の環流を勘案すると、この分野しかないだろうという結論からですが、国内にいいシーズ(種)がないのと、あってもそれを育てるための息の長い投資のできる人がいないことが問題です。
今、バイオは難しいといわれていますが、以前、東証で公開したバイオ企業のバリューが下がったことがあって、投資家保護の観点で東証が公開企業に一定の条件を課したんですね。日本では何か起きると、すべてレギュレーション(規制)で解決しようとしますが、本来は市場に委ねればいいことで、投資家が自らのリスクで行えばいいのです。リスクとリターンを正当に評価して投資をする、それで失敗したらしょうがないし、そういう企業も粛々と退場できる仕組みにすることで回っていくわけです。ところが、「なんで、あんな企業を公開させたのだ」という批判に晒され、レギュレーションが作られ、ガイドラインが策定されてしまう。こうしたことが日本の活力を削いでいるかなりの要因ではないかと思います。行政、そして東証の審査部門が、批判をかわすために行った施策が、日本のバイオベンチャーを弱体化させたという見方を、私自身は持っています。
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