40代半ばから「競争」から「共生」へと、私の価値観は大転換しました。そして、強者も弱者も共に生き抜ける道を模索するようになります。これが新しい経営法の構築でした。「共生」をキーワードにした経営法、これが船井流経営法の本質になるのです。競争より共生というスタンスに立って考え方を改めると、世の中が劇的に変わって見えました。
その中で見えてきたことの一つが資本主義の矛盾です。開発という名の破壊を続けるシステム、消費拡大と呼ばれる浪費、そこに加わる競争原理など、こういうイデオロギーに未来はないのではないかと思いました。このときから新しい経営戦略を構築する以前に、世の中はどういう仕組みになっているのか、人間の本来あるべき姿はどういうものか、そういう研究に力を注ぐようになりました。その結果、「経営のポイントは人。人材が人財を作り出す。トップの包みこみ力が重要」という経営の原則を発見したのです。
また、共生の発想から「競争せずに儲けるノウハウ」を開発しました。これにはいくつかの方法がありますが、私たちが重視した一つが「主力づくり法」です。主力とはその店が得意とする商品であることはもちろん、ライバル店が正面から競争に打って出ることができない商品のことです。つまり、各店が一番得意とする商品、いってみれば店の長所を伸ばす商品を主力にすればいいのです。短所を改善するよりも長所を伸ばすことで短所がなくなるという長所伸展法です。主力づくりに成功した中小企業は、間違いなく成長しています。
|