ここ数年は食品偽装や経費等の不正計上、改ざんなど、企業家も政治家も役人も自分の都合や目先の利益を優先して、悪事や不正を働く事件が頻発しています。これまでの社会は自己の良心を貫くことよりも、要領よく立ち回ることで富みを得るケースが少なくなく、必然的にそうしたテクニックを身に付けた人間が何かと得をしてしまう時代でした。しかし、こうした時代は終焉を迎え、時代は「エゴ中心」から「自他同然」へと移行し始めていると思えます。今後は良心に従う生き方の重要性や必要性が見直されることでしょう。
良心とは「他者への愛を主張し、ときには自己犠牲をも厭わない心」です。それは人間としての特性ですし、長所でもあるのです。しかしながら、人間はエゴから完全に脱却できず、矛盾に満ちた心を抱えています。だからこそ、常に自分の良心に問いかけ、対話をして、善悪を判断するクセをつけることが必要です。良心が下す判断は、そのときにその人にできる最高レベルの決断だと言えるでしょう。
良心は「人間性向上の仕組みを支える心」とも言えます。人間的成長と良心との対話のサイクルによって、人間は無限に向上していくものです。人間として成長していく過程で、良心の声に耳を傾け、良心に恥じない行為を心がけ、良心に従うクセづけをすることが大切だと思います。
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